ディレクターの まつくいです。
前回のお話で、ゲーム作りは不思議だと語りました。
こんなメモがいつのまにやら
こうなるのですから。
ということで!
今回からは、メモ書きが変化していく不思議な過程を見ていこうと思います。
題しまして、
ゲーム作りの不思議探訪・ぺんぎんくんギラギラしよーず②
~ワールドマップをギラギラさせよう~
でございます!
「えっ ぺんぎんくんギラギラWARSにワールドマップなんてあったっけ?」
そう思った方も思わなかった方も、私まつくいと一緒にその不思議を紐解いていきましょう!
~ワールドマップをギラギラさせよう~
原作のぺんぎんくんWARS(業務用)はトーナメント方式で勝ち上がっていき優勝を目指すというゲームシステム。その影響を受けてか、開発当初のメモ書きにはトーナメントのことが記載されていました。
プロジェクト会議にて「トーナメント方式だと原作と全く同じだよね」「ずっと室内ってのもどうかと」などの意見が飛び交う中、”ぺんぎんがデコトラに乗って旅をしながら最終地点を目指す”という設定が生まれました。
そのころの企画書の一部。
ワールドマップ初期構想その1。
各地を巡り目的地に進んでいく、すごろくのようなマップ。これがワールドマップの原型。この丸いところをペンギンカーが進んでいくという内容。
このタイプのワールドマップは、進むべき道が見えていて何をすれば良いかわかりやすいことから、いろんなゲームで採用されている。
しかしながら!
このゲームはぺんぎんくんギラギラWARSだ。ギラギラと銘打っているからには、もっとギラギラさせたい。
すごろくマップだと、マスの上に滞在しているとき面白みに欠けるので、ペンギンカーが常に進んでいる雰囲気にできれば良いのだが……。
ということで、
ワールドマップ初期構想その2。
背景をループでスクロールさせて、ペンギンカーが常に走っているように見せるという案が採用される。これならコントローラーに触れずにほったらかしにしても、軽快に颯爽と走り続けるペンギンカーを表現できる。
しかしながら!
3Dで背景を作るのはコストがかかる。
2Dであってもループ背景の制作はちょいと手間。
ということで……
ワールドマッププロトタイプ。
丸い地面を回転させることにした。
これならペンギンカーを永遠に走らせられるし大きく表示できるので画面映えも申し分ない。制作コストの面でも優秀だ。
挑戦状を選ぶ画面でペンギンカーを大きく表示。このペンギンカーは私が3Dでボックスと球体を組み合わせただけのもの。側面にデザイナーさんの仮絵を貼り付けたら面白い見た目になったので、未使用ながらも気に入っている。
なお、動物たちからの挑戦状は、矢文としてペンギンカーの側面に突き刺さる形で届けられる。やや物騒な設定だが、CEROはAなのでお子様にも安心して遊んでいただける。
※CERO→セロと読む。対象年齢をABCDZの5段階に区分けしたもの。Aなら安心の全年齢対象。お茶の間が凍り付くような表現は一切実装されていない。ぺんぎんくんギラギラWARSのCEROはAだが、もし動物が流血するなどの残酷表現を入れていたらB以下に区分されるはずだ。
さあ、そして……
仕様が固まってきたワールドマップ。
ギラギラしてきたペンギンカーと円形背景。正式にこの路線でブラッシュアップしていくことに決定。
あとは、UI周りだ。
※UI=ユーザーインターフェース。プレイヤーに情報を伝える為の表示物や操作感のこと。タッチパネル式の券売機などで目的の商品が買いやすければ、良いUIの券売機であると言える。(個人的にゲーム業界ほどUIにこだわっているところは無いように思う。どうかな?)
UIのデザインは、E3出張中のスタッフがラスベガスからヒントを得た(まゆつば)というネオンサインベースで統一された。
その結果……
こうなった!
ギラギラ団の面々が一路邁進する雰囲気が素敵でしょ!
これにてワールドマップのギラギラ化は完了だ!
最終的には、地図もなく道もない、ワールドマップでも何でもない画面になったけれど、私は今でもこの画面を「ワールドマップ」と呼んでいる(笑)
次回もお楽しみに!
チェケラッ!(遠くを見つめながら)
おまけ。動物たちを煽ると挑戦しに来るという内容のメモ(笑)